マレーシアから見た日本 TOPICS

マレーシアから見た日本

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投稿者:陸培春(ルー・ペイ・チュン)

一億人余りの日本人が「アジア平和賞」を受賞!

もうすぐ81歳を迎える元気いっぱいの星野恒雄氏は本当に幸せなお年寄りである。青年時代に欧米を旅して西洋料理を味わい尽くした彼だが、マレーシアは今回が初訪問だ。

3日間という短い滞在中に海南鶏飯、鶏手羽焼き、鶏足煮込み、魚頭カレー、広州焼きそば、ホッケンミーなどの地元中華料理の逸品だけでなく、ドリアン、マンゴスチン、ランブータンといったトロピカルフルーツを初めて嗜めた。そればかりかマラヤ第二次大戦歴史研究会が催した第一回「アジア平和賞」まで受賞したのだ!

トロピカルフルーツ

海南鶏飯

 

 

 

 

 

彼の来訪と受賞は、連日各新聞のカラーページで大きく取り上げられ、特に南洋商報は社説で彼の異色の経歴を紹介した。星野氏とその同志である石垣義昭氏は、マレーシア訪問で多くの収穫をえて帰国した。きっと彼らはマレーシア人の客人を厚くもてなす民族性に深く感動したに違いない!

そもそも「アジア平和賞」とは何か。どうして110人の園児を抱える幼稚園の理事長である高齢の日本人にこの賞が授与されたのか。

近年日本の右翼政治家は日増しに影響力を拡大し、侵略の正当化に大きな役割を果たした靖国神社に頻繁に参拝するようになった。そして戦争責任を否定する論議を盛んに展開し、これまでの定説をくつがえして軍国主義を急速に復活させようとしている。

こうした事情にかんがみて、わが華人社会は19年前の1995年から日本の敗戦記念日の8月15日(わが国では光復日または抗日戦争勝利記念日と呼ばれる)の午前11時に福建義山(クアラルンプールの華人墓地)で日本占領期に殉難した同胞の追悼式典を行い、警戒を強めている。

なぜ11時かと言えば、それはわが国の11時が日本の正午に当り、日本政府が東京武道館で盛大かつ厳かに戦没者追悼式典を挙行しているからである。我々を侵略した日本人ですら大々的に戦没者を追悼している。しかし被害者である我が国は、悲惨な死をとげた数多くの祖先を追悼しないまま戦後を過ごしてきた。被害の史実を忘却してしまっては、冥土の英霊に会わせる顔がないのではなかろうか。

8月15日の殉難者追悼記念式典
地元の中学生も多数参列して記憶を引き継いている。

 

またたく間に19年が過ぎ世の中は移り変わった。しかし残念なことに日本の右傾化と修正主義は勢いを増すばかりで、アジア中を騒がせている。遺憾にも安倍首相の侵略否定と靖国神社参拝は、中韓とわが華人社会を怒らせ、親分のアメリカですら失望を表明した。

もちろん日本には、平和の維持に熱心な良識ある人々も存在し、「戦争放棄」の憲法九条は依然として効力を有しており、安倍もそれを変えることはないと主張する。しか右傾化と修正主義の風が猛威を振るう中、口先と腹底が異なる安倍はあの手この手をめぐらせて、閣議で強引に「集団的自衛権」を容認した。

くり返される「不戦」憲法の危機に、オーストラリアへの留学経験のある主婦の鷹巣直美氏は身の危険も顧みずに立ち上がり、憲法九条をノーベル平和賞候補に申請する提案をした。(10月10日の発表によると申請はすでに受理された)-中略―

日本の平和運動を支援し、アジアの安全を保障することを目的として、わが国の第二次大戦歴史研究会は「アジア平和賞」を創設し、第一回の平和賞は憲法九条を堅持するすべての日本人に授与することを決定した。受賞対象が多くの日本人となったことは前代未聞のことだ!しかし、具体的な受賞者は上述の「憲法九条にノーベル平和賞を」実行委員会の共同代表である星野・石垣の両氏とし、お二人に来ていただき賞を授与した。

開戦時には八歳に過ぎなかった星野氏は、感慨無量の面持ちでこう語った。「日本はかつて武力を用いたために最終的にアメリカの軍事力に敗れた。武力の不使用は日本国民の常識だ。」すなわち日本は戦争を放棄し、再び他国を侵略せず、永遠に平和大国であることが戦後日本の立国の基礎なのだ。

星野氏の同志である石垣氏は、かつて高校の国語教師だった。父親は彼が三歳の時、毒ガス部隊員として中国に派遣されて戦死した。母親一人で、父親の愛情を受ける機会がほとんどなかった彼を育てる苦労は並大抵のものではなかった。

彼は厳粛な面持ちでこう語った。「我々が平和憲法を獲得してから70年近くの間、一度も他国の民衆を傷つけたことはないし、私自身も殺されなかった。これが全人類の理想となることを願っている。」

お二人が1億人余りの日本人を代表してマレーシアを訪れ、「アジア平和賞」を受賞したことは、日本の平和主義の時代を画する新たなマイルストーンであり、輝かしい一ページである!日本人のこうした無形財産は、彼らの大きな誇り、貴重な「国宝」であり、日本人はそれを名誉と思うべきではなかろうか。ただ安倍首相がそれを名誉と思うかどうかは不明ではあるが。

投稿者:陸培春(ルー・ペイ・チュン)

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